Satoryu's Diary

Rubyが好きなプログラマーの日記。日々の生活、開発に関するメモとか考えとか。


2014年04月03日 [長年日記]

_ 社内勉強会の作り方(1)期待してはいけない10のこと

予め申して起きますと、タイトルは釣りです。ようこそいらっしゃいました。

今日、某社*1の方々が社内での技術コミュニティや勉強会を立ちあげたい、という思いから、弊社での社内勉強会の事例を聞かれたので、少し話をしてきました。

遡ること2011年9月に、色々な思いを込めて、弊社の社内勉強会としてRakuten Tech Talkを立ちあげました。初めはせいぜい20〜30人の参加者で、色々な人に声をかけて、あーでもないこーでもないと、色々悩んだり考えたりしながら続け、ここ数回の開催では100人規模の参加者が集まることもある会になりました。現在、自分含めて3人で、直接の業務と関係なく、ボランティアとして運営しています。

この規模に至るまでに、何をしたのか、というのを聞かれることもあるのですが、正直に言うと、地味なことしかしていません。会場となる会議室を予約したり、スクリーンやマイク、プロジェクターの準備したり、椅子を並べたり、弊社開発部全員宛に会議予約の案内を送ったり。こういう話をすると、「え?勉強会の内容は?企画は?しないの?」と驚かれますが、それらについては殆ど何もやっていません。「何か話をしたい人はいませんか?」と手を上げているだけですし、私が色々やっているという社内の認知度が高くなっているので、今では何も言わなくても、スピーカーの方から相談に来てくれます。

今は100人規模で参加してくださっているし、スピーカーも自然と集まってくるなんて話をすると、何も苦労が無いように思われるかもしれないのですが、立ちあげ当初が一番大変でした。当時の負担は、運営の負担よりも精神的な負担が大きかったので、その時に心がけていたことを書きます。

それは、期待しないということです。

頑張って考えた企画であれば人が集まるとか期待しない。

もしあなたがコミュニティを立ち上げよう、継続的な勉強会を開こう、と思っているのであれば、きっと周りの人より情熱があると思います。 その情熱が発言にも出てきますし、そのうちやろうとしていることがとても素晴らしいことのように思えてきます。

「これは素晴らしい勉強会だ!これに参加しないわけがない!」

とか信じることでしょう。

ですが、そう信じたとおりになると期待しないでください。実際に、期待通りであれば、まぁ良しでしょう。でも、どんなに企画に時間をかけても、どんなに広い会場を抑えても、参加者が期待通りに集まらないことは平気であります。期待しすぎると、このギャップが辛いです。 忙しくて来れない人もいますし、そもそも会のことを知らない人もいます。そういうものだと認めるしかないです。

勉強会が仕事の役に立つとか期待しない。

「で、君のやる勉強会に参加すると、何か仕事に役立つわけ?」

ということを聞かれることもありました。こういうことを聞いてくる人は、特に開発に情熱を持っているわけでもなかったりするので、基本的に無視していいとは思うのですが、答えを要求されたときには、ただ一言だけ、期待しないでくださいと答えます。

勉強会で大切なのは、コンテンツもそうなのですが、人だと思います。 勉強会に集まってくる人たちは同じ問題意識や感心を持った人たちです。スピーカーもそういった問題意識や感心を持っている1人です。 ここで重要なのは、同じ意識を持った人が誰なのかがわかることです。そういった場、機会を作ることが、運営側に求められていることだと思います。

ちょっと話が反れますが、勉強会に参加するとそれがそのまま何かの役に立つ、という発想は危険だと思います。 誰かの話を一回聞いただけで何か問題が解決することなんて殆どありませんし、技術職であるエンジニアとしては、その技術を自分の技術として獲得するのにどんだけ時間がかかるかを考えたら、すぐにわかると思います。余程の天才でない限りは、そんな劇的な変化は見込めません。 そして、スピーカーとあなたは違いますし、当然、スピーカーの直面している問題とあなたの直面している問題は、同じ所もあれば違うところもあります。直接役立てようなんてのは無理です。

すぐに役立つ勉強会を延々と探し続けるより、同じ仲間を見つける会に参加する方が健全で確実です。1人で悩んでいたことが2人になるだけでも凄いことだと思います。

誰かが助けてくれるとか期待しない。

これまで運営を1人ぼっちでやっていたわけではなく、色んな人が助けてくれました。ですが、結果的に現在では私含めて3人でやっています。 ちょくちょく

「運営やりますよ!何か言ってくれれば手伝いますよ!」

という声をかけてくれる方がいます。ですが、申し訳ないのですが、こういった方を言う人の殆どが、長く続きません。 何か言わなければやってくれないというのはボランティアとして長続きしないのだと思います。

始めは手伝ってくださった方々も多くは途中で運営に参加しなくなりました。 皆さん、普段の業務は忙しいですし、何の見返りもないです、業務評価とも関係ありません。 人事発令も出ません。ただただ時間を取られるだけです。 本業の仕事を少し脇に置いて、何の役にたつのかもわからない勉強会の運営をやっている身からすれば文句は言えないです。

勝手に手伝ってくれる方は、本当に助かります。そして、長く続けてくれます。 何がモチベーションなのかはわかりませんが、各人の野望というか情熱を彼ら自身で見出しているので動いてくれます。 ただ、そういう人は稀です。そんなにすぐには現れないですし、もちろん多くもありません。

来るものは拒まず、去るものも追わず。気が向いたら、また来てね。 そんな精神でやるのがストレス無くて良いです。

急に何かが変わるとか期待しない。

私の場合、「自分たちの勉強会を持つ、当たり前のように他の部署のことや、新しいことをキャッチアップするし、自分から発信するような文化を作りたい」という思いから始めました。 最初の期待しないことにあげたように、良い考え*2であれば全ての人が理解してくれるなんてことは無いです。いきなり100人なんてこないですし、テーマによっては10人にも充たない時だってありました。 それまでに無いことをやろうとしているのであれば、尚更、みんなが分かってくれると思わないことです。

でも、0ではないはずです。0だとしても、1人も現れないなんてことも無いでしょう。 しかし、それが急に現れるなんてことも期待しない方が良いでしょう。

自分に期待しない。

上手くいかなかった時に、最終的に責めるのは自分自身です。 上手くいかないのは、それなりの理由があります。 社内のあなたの知名度はどれだけでしょうか?あなたの作文能力は?あなたの話は面白いですか?あなたはそんなに魅力的ですか?

事実は事実として受け止めるしかないです。受け止めて、直せるところから直すしかありません。 何か対策を打ったとしても、急には変わると期待しない方が良いでしょう。

最後に

立ちあげ当初は、人が来ないですし、手伝ってくれる人も少ないですし、「何の意味があるの?」とか言われるしで、勉強会のあとは辛い気持ちでした。 そんな気持ちになると、「あぁ、また期待しちゃったなぁ。」と反省していました。 成功した時よりも失敗した時の方がえられることが多い、という言葉がありますが、これはそうだと思います。「このテーマに感心があるのは、この人達か。どういった人なんだろう?」とか、「この時間に開催すると人来ないなぁ」とか、次にやること考えることが増えて、社内勉強会ということから、自分たち社員、会社についての理解に繋がったりします。

急な変化を期待せず、小さいところから出来る範囲で少しずつ、少ない労力でやっていくことが、うまくいくコツなんだと思います。

これから社内勉強会を立ち上げようとしている皆さんが、他の社員全員の役に立つような勉強会を明日から開催できるなんてことは、全く期待していません。 頑張ってください。

Tags: 勉強会

*1 公表していいのかどうかは確認取ってないので伏せてます

*2 少なくとも自分はすごく良い文化だと信じています


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